熟女とオーストラリア3

世界には様々なゴールドコーストがあるが、オーストラリアのゴールドコーストブリスベンから車で1時間ちょっとの場所にあるオーストラリア有数の観光地である。

日本人観光客も多い場所として知られており、明石家さんまなど芸能人の別荘なんかも多いらしい。

ビーチの真横に高層アパートが立ち並ぶ風景はゴールドコーストならではであり、一見の価値があるかもしれない。

ホテルからビーチまでは5分とかからない。熟女連もビーチに着くと「やっぱりきれいやねえ!」とテンションが上がってきた。

確かにゴールドコーストのビーチは距離が長いにも関わらずゴミも落ちてないし、本当に綺麗だ。

2号もビーチの砂に目をやりながら「ビーチの感じは南紀白浜とは全然違うねえ」と言っている。また「南紀白浜私のせ…」となりかけたので慌てて話を変えた。

この日は非常に風が強く、それが気持ちいい。色々なマリンスポーツをやっている人がいる。

1号と2号のツーショット。姉妹には見えない。

オーストラリアと日本で一番違うのはビーチを歩いている人の年齢層と体型の幅広さだ。日本だと少し太っていたり、ある程度の年齢になると人前で水着になるのをためらう傾向がある。

ところがこちらでそんなことを気にしている人は全然いない。オーストラリアはアメリカを越える世界一の肥満国であるが、太っていても老若男女問わず豊満な肉体を人に見せることに抵抗はないようだ。

ビーチを歩いていると70歳くらいで100キロくらいありそうな女性が水着でビーチで本を読んでたりするのを見かける。

すると1号は「いやっ、見てあの人。ごっつい体してはるわ。あれがもし日本人やったらちょっとおかしいけど、外人やったらおかしないのは不思議やな。外人は太ってても醜くないわ。」とわけの分からない理論を唱えていた。

その後私に向かって「あんた小太りやけど、日本人やから醜いわ。足も短いし、髪型も変やし。もっとシュッとできひんのかいな。なんかあんたは垢抜けへんな。」と毒づいてくる。「足短いのも髪が変なのも親のせいじゃ」と思いながらもグッとこらえた。

教訓8
おばちゃんは自分のことを棚に上げることが得意


ビーチを散歩してからはゴールドコーストの中心街で買い物。

まずはお土産屋に入った。

帽子をかぶっているのに帽子を物色する2号。

「カンガルーやらコアラやらには興味ないで」と言っていたのにカンガルーのぬいぐるみを物色する1号。

続いてWoolworthsという豪州最大のスーパーマーケットチェーンへ。

「向こうにあるのはなんやの?」と質問をする2号。はっきり言って中国人マフィアみたいな風貌である。「こいつら全員片付けろ」と中国語で言っていてもおかしくない。何かに似ていると思ったらドラゴンボール鶴仙人だった。

「カンガルー肉まで売ってんの!」と驚きながら肉売り場を散歩する1号。そうオーストラリアのスーパーはカンガルーの肉まで売っているのである。

しかしやはり主婦だからかスーパーは楽しそうだ。見たこともない食材や値段の違いなどに一喜一憂している。

店内をブラブラして気がつけばスーパーの中でもナッツ類を購入している。「ナッツは食べだしたら止まらへんからな。」と2号と3号。どんだけ豆すっきやねん!

教訓9
おばちゃんはスーパーが大好き


お店を出たらパフォーマンスで銅像のように固まっているおじさんを発見。なぜか3号がやたら興味を示し、「人間か?生きてはんのか?」と言いながらも近づいて握手を求めに行った。3号以外は全員子供である。

「握手どうやった?」と聞くと「人間やったわ」ととんちんかんな回答が返ってきた。



夕食は近くのホテルのシーフード食べ放題ビュッフェへ。牡蠣やらエビやらカニやら魚やらのシーフードがこれでもかというくらい食べられる。

「生牡蠣食べても大丈夫か?私らまだ死にたないで」と心配していた熟女連だが、おそるおそる食べてみたら美味しかったようで、最終的にはバクバク食べていた。

教訓10
おばちゃんは長生きを望むが、目の前の欲望には勝てない

食べながらどんな話題をするのかと楽しみにしていたが、意外にも「オバマ米大統領になりそうだ」という硬い話題。3号が「世界は動いているで。人生も世界もいつも動くもんなんや。止まってたらあかん。」とまた名言をはいた。1号は難しい話が嫌いなので黙って聞いているが(たぶん本当は聞いていない)、2号が相槌を打っている。

その後3号は何を思ったか突如「ええ栗の渋抜きの仕方教えたろか?」と話題を180度転換。ここまで綺麗に「オバマと世界情勢」から「栗の渋抜き」まで話題を転換できる人物は世界広しと言えども3号以外には見当たらないだろう。
私は全く会話についていけないので無言だが、2号に目をやると「そら知らんかった」とか言いながら3号流の栗の渋抜きの方法をしっかりメモしている!会話を展開する3号もすごいが、きっちりマンマークでついていける2号の実力も侮れない!

3号は母の従姉妹なのでそれほどたくさん話したことがあるわけではなかったが、この辺りから徐々に「今回のメンバーで一番キャラが濃いのは3号なのでは…」と思い始めた。

教訓10
おばちゃんは突如話題を変える


夕食を食べて部屋に戻ると「料理の鉄人」がやっていた。もう10年くらい前の番組だと思うが、オーストラリアでは「アイアンシェフ」という番組名で放送されて人気番組になっている。ちなみに今回のテーマは「しいたけ」だった。

熟女連も「いやっ、景山民夫やん。この人亡くなりはったもんなあ」とか「英語わけわからへんけど、『しいたけ』だけは聞こえるなあ」とか興味津々な2号。

悪い顔になっている陳建一

そんな中、1号だけはなぜか勉強していた。実は調理師の免許を取ろうとしており、オーストラリアから帰ったらすぐに試験があるらしいのだ。毒素の名前などを覚えなければならないらしく「青梅に含まれているアミグダリンという名前が全然覚えられへんねん」とぼやいている。駄洒落で覚えようとしているらしく「アミダクジが当たったよ」という風に何度も口に出しているのだが、「アミダクジ」と「青梅」がどうしてもつながらないらしく、しばらくして「青梅の毒は?」と聞くと「ええーっと、えーっと、忘れた」と全然頭に入ってない。

1号は私が小さい頃「勉強しろ」だの「塾に入れ」だのはあまり言わない放任主義だったが、私はうすうす「ひょっとしたら1号は子供の頃アホ(失礼)だったのではないか」と思っていた。自分が勉強しなかったから息子に「勉強しろ」と言えなかっただけではないのかと思っていたのだ。

この点の疑惑を晴らすべく幼少の頃より1号を知る2号に「おかんは子供の時成績よかったん?」と聞いてみた。

「姉ちゃん、成績全然あかんかったな」と期待通りの答え。うーむ、やはりそうか。

でも私は知っている。1号が基本的に非常に真面目な人間であることを。授業をさぼったり、手を抜いたりできない性格なのだ。真面目に勉強していたことは間違いないと思う。

となると「真面目に勉強していたのにアホ」という一番悲しい結論を導かざるを得ない。毎日ちゃんと学校に行って、先生の言うことを守って、勉強しているのにアホなのだ。しかし、ぶつぶつと「アミダクジが当たったよ」とつぶやいている1号を見ると、それも無理もなかろうと思うのであった。


次回は熟女連が外人と絡む。