南半球は暑いか?

私は豪州に来るまで27年間生きてきて赤道を一度も越えたことがなかった。一番赤道に近づいたのは大学5回生のときに行ったスリランカだ。(私が所属していた大学は5年制度だった)

27年間も生きてきて赤道も越えていないとは何たる体たらくだと言われても仕方がないが、そう言われてみれば越えていないものは他にもたくさんある。群馬と長野の県境も越えたことがないし、北緯38度線も越えたことがない。(厳密には北緯38度線は北海道や東北へ旅行で行った際に何度か越えているが、ここでは狭義の意味で書いている)

さて、今回の豪州行きが私にとっての初めての南半球体験ということになるので、非常にウキウキしていた。というのも南半球が提供してくれるイメージというのは素晴らしいものばかりだからだ。

例えば「南半球は暑い」というのがある。もちろんかの有名な南極大陸を擁しているのだから、全部が寒い(「暑い」の間違い)ということは考えられないし、そもそも地球の半分が常に暑いというのがおかしいということは少し考えれば分かることである。しかし、南緯30度線より南にある国というのがアルゼンチン・チリ・ウルグアイニュージーランドくらいしかなく、全ての南半球の国はケッペンの気候区分では熱帯か温帯に属しているようだ。だから地図上では確かに南半球は暑い国が多い。

他に思い浮かぶ南半球のイメージといえば「南半球は能天気」「南半球はフレンドリー」「南半球は服が葉っぱ」などである。逆にイメージと程遠いのは「南半球は勤勉」「南半球は手先が器用」「南半球は人見知り」などだ。日本人とは全く逆のイメージである。

そして問題は実際に来てみてどうかということだ。
まず気候の点からいえば、ブリスベンはやはり暖かい。もう秋も深まっているはずだが、街を半袖で歩いている人が多い。それどころか水着みたいなので歩いている女子もいる(これについてはまた今度書きたい)。こちらはなぜか寒暖差が非常に大きく朝と夜は冷えるのだが日中は暖かい(というか暑い)ときが多い。日本人なら寒いときに合わせて上着を持ち歩いたりするが、こちらは日中基準の人が多いような気がする。豪州のブリスベンという年だけで南半球全体を判断したら南半球に怒られそうだが、とりあえず「暑い」というイメージは大きく間違っているわけではないようだ。豪州の中でもブリスベンシドニーメルボルンに比べて北にあるため、温暖な気候が人気を集めて人口が増え続けているらしい。私も一時的とはいえ、その増えている中の一人というわけで悪い気はしない。