私が豪州人に見えるのか?

どういうわけだか知らないが、こちらに来てからやたらと道を聞かれる。まだ1ヶ月も経っていないが、すでに三回聞かれた。

最初はシドニーからブリスベンに移動する空港で南米っぽい人にチェックインの機械の使い方を聞かれた(カンタス航空では妙な機械を使ってチェックインすることができる)。私も豪州に来て5日目くらいだったし、まして機械の使い方など全く分からないので「他の人のやってるのを見て真似てみよう」と考えていたので、いきなり「この機械の使い方を教えてください」と言われてびっくりしてしまった。「私もよく分かりません。今から自力でやってみます」と答えたら、その人も自力でやることにしたらしく何やらボタンを押していた。私はわりとスムーズに出来たのだが、その人は全然出来ないようだった。結局見かねた空港スタッフが来てやり方を懇切に教えていた。

二回目はインド人っぽい人に電車のホームで「この電車は○○駅に行くか?」と聞かれた。実は私もその駅に行きたかったので「私もそこに行きたいです。この電車で行くと思うのでますが、私も来たばかりではっきりとは分かりません」と答えた。するとそのインド人はさらに別の人にも同じことを聞いている。そこで私と逆の答えをもらったらしく「この電車は行かないらしいぞ」と言ってきた。「え、そうなのかな。おかしいな」とは思ったが、私もよく分からないので「あ、そうですか」と答えておいた。私は自分を信じてその電車に乗ったが、そのインド人は乗らずに駅で待つことにしたらしい。結果的には私が正しかったので、彼は次の電車を30分ほど待たなければならなかったと思う。関係ないが、こちらは夜遅かったり休日になると電車が極端に少なくなってしまうので、一本見逃せば非常に面倒なことになってしまう。

またつい最近ブリスベンの繁華街を歩いているとフィリピン人に「駅はどこですか?」と聞かれた。私も駅に向かっていたので「一緒に行きましょう」と答えた。たまたま乗る電車も同じだったので話をしたところ、5日前に家族を置いて出稼ぎでマニラからオーストラリアに来たと言っていた。「なぜ豪州に来たのだ?」と聞かれて「仕事です」と答えると「あなたは日本というお金持ちの国にいたのだからわざわざこちらに来なくても仕事あったでしょう」と言われて、なんと答えたらよいか分からずに「うーん」となってしまった。45歳のおじさんだったのだが、ことあるごとに「No money.sleeping free.」と言っていた。「金がないから家帰って寝るよ」ということなのだろう。なんか妙に仲良くなって別れるときは少し悲しかった。

最初は「私に道聞いてどうするんだ。どう見ても豪州人には見えないだろう。」と思っていた。私は「白人以外なら何人って言われても納得するよね」と言われたことがある。だから100歩譲って南米や黒人やアラブ系には見えたとしても白人が多い豪州人には見えないだろうと思って不思議な気分だった。しかし最近ちょっと考えが変わった。おそらくどう見ても豪州人には見えないから道を聞かれているのだ。たぶんみんな英語が苦手で豪州人の言っていることは聞き取りづらく、モンゴロイドを見ると多少は安心するのだろう。

そう考えるとだから私がよく道を聞かれるのは当然なのだ。豪州には私が会ったようなインド人やフィリピン人を含めたくさんの移民が来ている。そして彼らは当然こちらの地理や色々な制度が分からない。そこで同じような立場でちょっとでも自分より分かっているかもしれないという人に何かを聞いたりするのではないだろうか。そうすると白人が除かれて母集団がグッと減るのだから当然何かを聞かれる確率は高くなる。くそー、南米人にもインド人にももっと親切にしておけばよかったと思う。